平成12年度は、10年度、11年度の考察を踏まえ、先行発表された歐陽脩研究の著書・論文名を網羅した歐陽脩研究論著目録の作成、及びこの三年間の研究の成果をまとめた報告書の作成を行った。 歐陽脩研究論著目録については、以前発表していたデータと今回収集したデータを整理して、1945年から1999年までの50年間の、日本、中国、台湾における歐陽脩研究に関する著書・論文名を網羅して「歐陽脩研究論著目録(1945-1999)」という形式にまとめた。これによって、これまでの歐陽脩研究の現状が明らかになると考える。 報告書の作成に先立ち、平成12年度は「歐陽脩の駢文観」、「歐腸脩散文の特色-『五代史記』と『旧五代史』の文章表現の比較を通して-」、「南宋本『歐陽文忠公集』の成立過程について」という報告書の主要部分を担う論文を発表した。 報告書の内容と構成は次の通りである。序論は「北宋古文復興研究への視点」で、本研究の基本的視点を提出した。本論は、上・中・下の3篇で構成される。上篇「行巻より見た北宋の古文復興」、中篇「歐陽脩の古文」、下篇「歐陽脩の古文復興の展開」である。そして、結論は「歐陽脩における後進の推挙と古文復興」で、更に外篇「歐陽脩研究をめぐって」を附した。ちなみに「歐陽脩研究論著目録」は外篇の中の1章として配置した。 以上を通して、北宋の古文復興と科挙との関連を、特に歐陽脩を中心として総合的に考察した。
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