Ida Pruittの山東時代の資料については、Dr Marjorie KingからHarvard Universityへ寄贈されたArchiviveの閲覧と文献リスト作成を完了している。この中にはIda Pruittの母親(Anna Seward)がSouthern Baptist Mission Boardへ報告したAnnual Reportが含まれているが、これはある程度時期や発表経緯を確定できるものの、News Clippingなど他の初出不明の資料は原載誌を確認するのが現時点ではかなり困難である。これ自体としては、19世紀末の中国山東におけるキリスト教布教事業を研究する際の貴重な一次資料になりうるが、今後これを典拠にした資料分析や研究を行う際、初出をどのように確定するかが大きな問題となろう。なおChina RecordにAnna Sewardが発表したものについては、時期も内容も資料的に確定できる。またアメリカの家族に宛てた書簡も同じようにArchiveに一部保存されているが、こちらはより貴重な一次資料として整理の後いずれ何らかの形で公開できるようにしたい。北京協和医学院社会福利部時代の資料は、PUMC Archive以上のものは現在のところ確認できていない。特にこの間あるいはINDUSCO設立前後にEdgar Showらとどのような関係を持っていたのか、2年間の資料収集では確認できなかった。現時点ではColumbia UniversityやNew York Public Library所蔵のINDUSCO Archiveに依拠して今後の研究を進めざるをえない。Ida Puittの未発表原稿に関しては、A China Childhoodの数種類の未発表原稿のコピーを入手できたので、最終稿との異動等テクストクリティーの作業が今後に残されている。なおIda Pruittが共同作業の形で行った老舎『四世同堂』英訳本をめぐる問題については、以前発表した論文に修正加筆する形で中国語論文を完成し、99年2月北京で行われた「老舎生誕百周年国際研討会」および99年7月早稲田大学で行われた「日本老舎研究会」99年大会で発表済みである。
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