研究概要 |
研究実績の概要(11年度) 研究代表者は、廃墟が人間の心に与える影響について、松山にて、わが国のバイロン研究の第一人者上杉文世氏と、また、大阪にてわが国のバイロン研究の権威田吹長彦氏と討論を重ね、ロマン主義的崇高に接した時の人間の心の動きと、バイロンの作品における脱線とは、一見無関係に見えるが、源を同じくしているという知見を得た。これは、第11項記載の「『貴公子ハロルドの巡礼』の脱線の起源に関する審美学的考察」および"Meditations on Byronic Ruins"で詳しく論じた。さらに同様のテーマを9月にギリシアで開催された第25回国際バイロン学会で発表し、世界のバイロン研究者の指示を得た。これは"Meditations on the Acropolis"と題して平成12年3月に公表される予定である(第11項参照)。 さらに本年度は、昨年英国オックスフォード大学にて収集した文献のうちJohn Dyerの"The Ruins of Rome"という作品を精読し、廃墟およびそれに接した時の人間の心の動きについて一層認識を深めた。 また、本年度は廃墟のテーマをアメリカ文学にまで広げ、William Cullen Bryantの詩作品やThomas Coleの詩・絵画作品に関する基礎資料も収集し始めたところである。 来年度は、William Cullen Bryant,Thomas Cole関係の資料を収集・整理しつつ、John Dyerの研究をさらに押し進める予定である。
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