セクシュアリティの理論構築および、その文学/映像表象の実証研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10610463
• 研究機関: お茶の水女子大学
• 研究代表者: 竹村 和子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (10155046)
• キーワード: セクシュアリティ / ジェンダー / フェミニズム / 批評理論 / 文学表象 / 映像表象 / アイデンティティ / ポストコロニアリズム / グローバル化

研究概要

本年度は補助金交付の最後の年なので、研究をある程度まとめるとともに、今後の方向性を探る作業をした。
(1)まずまとめるという点については、過去数年間に発表してきた理論構築について、それを単行本にするために、50枚ほどの「序文」を執筆し、あわせて参考文献や資料の整理をおこなった。
(2)また近年はおもに理論構築に力を注いだので、今年はむしろセクシュアリティの文学/映像表象の分析を試みた。その成果は、2000年にV・ウルフ協会の年次大会のシンポジウムで口頭発表した論文「ミスター/ミセス・ダロウェイ--二つのテクストの沈黙が交差するところ」を文章化する作業をおこない(國重純二編『アメリカ文学のミレニアム』(下)南雲堂2001年に収録)、またあらたに今年度W・フォクナー協会の年次大会のシンポジウムで口頭発表し、かつその論文「親族関係のブラック/ホワイトホール--『アブサロム、アブサロム!』を乱交的に読む」を印刷物にする作業をした(『フォクナー』松柏社4号2002年4月刊行予定に収録)。
(3)今後の方向性としては、上野千鶴子との対談(1999年)をあらたに単行本(上野千鶴子編『ラディカルに語れば・・』平凡社2001年)に収録するにあたって、補遺論文を付加し、「セクシュアリティの再政治化とフェミニズムの再構築」の道をさぐった。
(4)また今後の方向性の一つとして、当初考えていた理論構築と実践研究のみならず、それに政治参与をくわえた三つ巴の戦略が知の再編に必要だとの認識をあらたにした。これは、上記の研究成果とともに、今年度になって参画したさまざまな雑誌のフェミニズム特集に文章を寄せたり、あるいはいままでの研究の結果としての、講演会その他における読者との応答の過程で得られた視野である。

研究成果

• [文献書誌] 竹村 和子: "<普遍>ではなく<正義>を"思想 (岩波書店). 925号. 252-274 (2001)
• [文献書誌] 竹村 和子: "親族関係のブラック/ホワイトホール"フォークナー (松柏社). 4号(4/初旬 刊行予定). (2002)
• [文献書誌] 竹村 和子: "翻訳の政治"近代日本文学 (日本近代日本文学会). 64集. 29-39 (2001)
• [文献書誌] 竹村 和子: "フェミニズム-撹乱と格闘のスリルのなかで"現代思想 (青土社). 29巻15号. 23-29 (2001)
• [文献書誌] 竹村 和子: "ジェンダー理論事始め"アエラむっく -ジェンダーを読む. 2002(3/末 刊行予定). (2002)
• [文献書誌] 竹村 和子: "(翻訳)ジュディス・バトラー「倫理の両義性」"批評空間. IV期2号. 200-208 (2001)
• [文献書誌] 竹村 和子: "(斎藤純一と対談) 親密圏と公共圏のあいだ"思想 (岩波書店). 925号. 7-26 (2001)
• [文献書誌] 竹村 和子: "(インタヴュー) フェミニズムは新しい時代に入った"大航海 (新書館). 39号. 74-87 (2001)
• [文献書誌] 竹村 和子: "(インタヴュー) フェミニズムのいま"言語 (大修館書店). 31巻2号. 78-83 (2002)
• [文献書誌] 上野, 河野, 大沢, 竹村, 足立: "ラディカルに語れば・・・"平凡社. 328+V (2001)
• [文献書誌] 國重純二編 竹村和子他共著: "アメリカ文学のミレニアム(II)"南雲堂. 504 (2001)
• [文献書誌] 姜高中編 竹村和子他共著: "ポストコロニアリズム"作品社. 206 (2001)
• [文献書誌] 江原, 金井共編 竹村和子共著: "フェミニズムの定義"平凡社(刊行予定). (2002)
• [文献書誌] 竹村和子, 村山利勝共訳: "バトラー・ラクラウ・シジェク 『偶発性・ヘゲモニー・普遍性』"青土社(4月-刊行予定). (2002)