平成11年度は、まず、昨年の研究対象であったマラマッド、ベロー、ロスのうち、Dubin's Livesを中心としたマラマッドの後期の作品に関する論文をまとめて発表した。この論文に関連した内容で、12月には日本マラマッド協会でシンポジアムを行い、司会を務めた。さらに、Herzogを中心としたベローの中期以降の作品に関する論文も書き上げている。 ふたつめに、やはり昨年手を付けたサリンジャーの作品研究のうち、初期作品から中期の作品に関する論文を書き上げた。これは来年度、80年代以降の作家との比較を加えて、より内容の充実したものに仕上げる予定である。 みっつめに、昨年集めたポール・オースター、ディビットー・レーヴィットらの作品を読みすすめている。これらの新しい作家の研究方法も含め、9月には、サンディゴ大学、デユーク大学、ハーバード大学でレビューを受けた。また、この時、ハロルド・ジェフィ氏ら、新しいユダヤ系作家から直接文学理論を聞くなどし、研究課題への視野を広げた。さらに、レビューの際に紹介されたウォルター・アビッシュ氏と連絡を取り合い、氏からの資料提供も受けて、現在、氏の作品をオースターやレイモンド・フェダーマンらの作品と比較しながら、80年以降のポスト・モダニストの考察を行っている。 なお、新しい作家を扱い始めたために、インターネットなどを利用しての資料収集に時間がかかり、今年度は新しい資料を検索したり取り寄せたりするため、また届いた資料を整理、分類するため、学生に作業の補助を依頼した。
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