平成12年度は本研究の最終年度であるため、様々な研究成果の発表を行なった。5月20日の日本英文学会第72回大会(立教大学)において「書簡にみるウィールライトとコットン-アンチノミアン論争後の和解への道-」という題目で研究報告を行ない、コットンの未公刊の書簡について分析した。この発表は好評であったが、時間が少なく調査内容すべてを報告できなかったので、6月24日に焦点をジョン・ウィールライトに当てて新たに報告を行なった。「ウィンスロップとウィールライ卜-宿命の対決」という題目で初期アメリカ学会第25回例会で2時間にわたりウィンスロップのウィールライトの生涯と彼らの意志の強さについて解説した。この二つの報告については昨年からウィスコンシン大学のブッシュ教授と共同で研究しているが、12年度も電子メールにより意見交換を行ない、正確な資料を使い解読するように努力した。 また本研究の取りまとめとして最終報告書の印刷を行なった。230ページからなる報告書で、ジョン・コットンを中心としたマサチューセッツ湾植民地の指導者やピューリタニズムの思想・神学についての学術書である。報告書には多数の図版と100年にわたる詳細な年表を含んでいる。この報告書は将来学術図書として出版を予定しており、索引を除いてほぼ完成原稿に近いものである。来年度もコットンの書簡と著書についての研究を進め、さらにインクリース・マザーなどの周辺のピューリタンたちの研究も加えて、アメリカのピューリタニズムを概観できる研究書としたいと思っている。 本研究は平成10年度から3年間に行なわれたが、私は交付申請書に記載した「研究目的・研究実施計画」はほとんど実行し、研究成果報告書を出版することにより独創的なピューリタニズム思想の分析を提示できたと思う。
|