本研究は3年間にわたりアメリカ植民地時代の創設期を扱った。平成10年度は新大陸での土地の取得のプロセスを中心に、英国からの渡航記、ボストンの地図、神学者の説教と自伝、教会の回心体験告白などの資料を通して明らかにした。トマス・フッカー、トマス・シェパード、ジョン・ウィンスロップを研究対象として、コットンと同時代に生きた植民地第一世代の彼らがアメリカを建国するに至った決意を、英国にさかのぼり調査し、彼らが1630年にマサチューセッツ湾植民地を創設した時のボストンの様子を、地図を使用して詳細に調査した。 平成11年度はコットンとトマス・フッカーの関係、アンチノミアン論争で追放されたジョン・ウィールライトとの関係、ボストンの都市の発展を研究した。ウィールライトとコットンの間でかわされた書簡はボストン公立図書館に所蔵されているため、これを資料収集するために私はアメリカに渡航した。ボストンの発展については、ニューヨーク公立図書館の地図部門で資料収集した。ボストンはインディアンから買収した1630年代から現在に至るまで地図が残っており、これが都市の発展と植民地の拡大を証明している。 平成12年度は本研究の最終年度であるため、様々な研究成果の発表を行なった。5月20日の日本英文学会において「書簡にみるウィールライトとコットン-アンチノミアン論争後の和解への道-」という題目で研究報告を行ない、コットンの未公刊の書簡について分析した。また本研究の取りまとめとして最終報告書の印刷を行なった。238ページからなる報告書は多数の図版と100年にわたる詳細な年表を含み、将来学術図書として出版を予定している。私は本研究の交付申請書に記載した「研究目的・研究実施計画」はほとんど実行し、独創的なピューリタニズム思想の分析を提示できたと思う。
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