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1999 年度 実績報告書

フランス近現代文学における「夢の詩学」

研究課題

研究課題/領域番号 10610482
研究機関東京大学

研究代表者

塚本 昌則  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (90242081)

研究分担者 福田 耕介  白百合女子大学, 文学部, 専任講師 (30292741)
中地 義和  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50188942)
田村 毅  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011379)
キーワード夢 / 詩学 / 散文詩 / 断章 / モーリヤック / フロイト / ロマン主義 / ロートレアモン
研究概要

本研究は、ロマン主義以降のフランス文学において創作の大きな源泉となってきた「夢」を、テクストを形成する力と関係づけ、それが創作の方法にどのような影響を及ぼしているのかを検証することを目指すものである。今年度の研究活動においては、以下の諸点に関して成果が得られた。
1 ボードレールからアンリ・ミショーにいたるまで、優れた散文詩は同時に印象的な夢の物語を構成している場合が数多くある。ロートレアモンの作品の読解を通して、19世紀に確立された散文詩というジャンルが、夢の形成力を大きな糧として成立したことを明らかにした。(研究協力者・後藤)
2 夢と詩を同一視する風潮を批判してやまなかったヴァレリーは、実際には彼なりの「夢の詩学」を実践していた。『カイエ』に描かれたデッサンと、夢の物語を比較することで、その「詩学」の諸相を検討した。その過程で、2万6千ページに及ぶ『カイエ』に含まれる、150ほどの夢の物語のリストを作成した。(塚本)
3 夢に冷淡な態度を取っていたモーリヤックは、晩年、亡き母の現れる夢を克明に語っている。母親の死を看取る息子の姿を描く未完の遺作『マルタヴェルヌ』の分析を通して、夢が作品形成の大きな力となっていることを検証した。(福田)
「夢」は表現衝動を掻きたてるものであると同時に、表現するための新たな言葉を模索させるものでもある。その意味で「夢」は、新たな言語を創りださなければならないという近代文学に固有の要請にかなった現象だと言えるだろう。さまざまに形を変えながら受け継がれてゆく「夢」という主題を考えることは、そのまま新たな言語の創造という、近代文学を支配する力学について考察することにつながっている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 塚本 昌則: "声の誘惑 -ネルヴァルとヴァレリー-"『ネルヴァル全集IV』(筑摩書房刊). 月報4. (1999)

  • [文献書誌] 塚本 昌則: "Valery et les choses vagues"Paul Valery : dialogue Orient & Occident (論集:Minard刊). 307-319 (1998)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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