研究課題/領域番号 |
10610482
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
仏語・仏文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚本 昌則 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (90242081)
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研究分担者 |
福田 耕介 白百合女子大学, 文学部, 専任講師 (30292741)
中地 義和 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50188942)
田村 毅 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011379)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 夢 / 詩学 / 散文詩 / 断章 / モーリヤック / フロイト / ロマン主義 / ロートレアモン |
研究概要 |
ロマン主義以降のフランス文学において、「夢」が創作活動における大きな源泉となってきたことはこれまでも繰り返し強調されてきたことであり、さまざまなアプローチによる研究も進められている。とりわけ神話学、現象学、精神分析学等の手法を用いた研究は、膨大な数におよぶ「夢」のテクストを読むための強力な装置を提供してきた。 しかし、これまでの方法では、なぜ夢がミシェル・ビュトールやジョルジュ・ペレックといった現代作家にいたるまで、文学のひとつの源泉でありつづけているのかを捕らえきれないように思われる。というのも、夢は独創的な表現を可能にする現象であるところか、おそるべき紋切り型が支配する世界だからだ。当人にとってどれほど切実なものであったにしても、夢の物語はいくつかの類型にたやすく分類され、そのままの形ではとても創作の現場で有効性を保ちつづけられるようにはみえない。にもかかわらず、多くの作家・詩人たちがこの現象にこだわってきた背景には、そこに書くという行為そのものにかかわる何らかの力を認めてきたからではないだろうか。新たな形式を産みだす真の想像力の源泉であったからこそ、夢はひとつの特権的なテーマでありつづけているのではないか。 本研究は、夢をテクストを産出させる力と関係づけ、それが創作の方法としてどのように機能してきたかを検証する試みである。ネルヴァル、ロートレアモン、モーリヤック、ヴァレリーという個別の作家の作品分析を通して、とりわけ「夢」がそれ自体としてではなく、むしろ覚醒した意識との緊張関係において、創作行為の原動力となってきた事情を考察した。
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