本研究の目的は仏語圏の文学研究の世界的な広がりの中で、近年、とみに関心をよぶようになったカリブ海のフレンチ・クレオール研究の文献資料を調査し、収集することにあった。98年7月に実施した2週間ほどのハイチ調査旅行により、多くの研究者、作家たちと出会い、文献資料についての貴重な示唆を受け、予算の許す範囲で米国、カナダ、カリブ海(ハイチ、マルチニック、グアドループ、ギアナ、欧州(フランス、イギリス、ドイツ)から書物・資料を購入した。見聞の成果は随時、新聞、雑誌などを通して、広く我が国の知識人のために発信し、専門的には、著書(単著ないしは論文集への参加)の形で公表した。特筆すべき成果は報告者が長年にわたって個人的に収集してきたブラック・アフリカ、カリブ海関係の文献資料に今回の科学研究費補助金で購入した文献資料を加えて、総目録を作り、報告者の研究室の書架に実物を並べたことである。現時点では、当該分野における我が国有数の文庫である。将来、さらにコレクションを充実させ、公開して広く研究者の利用に供することを考えている。すでに大学院の授業では、収集した辞書、文法書、テクストに基づいてクレオール語文献の解読講義を行っている。そ
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