研究概要 |
本研究の目的は、談話における属格のenの生起と名詞句の指示性の関係の解明である。属格のenの生起に関しては、話されたものと書かれたものとでは生起の仕方の相違が予想されるので、話されたものと書かれたものの2種類のコーパスを作成し、分析の対象にすることにした。 今年度は独自のコーパスの作成を特に重点的に行った。まず、書かれたもののコーパスに関しては,スキャナーとOCR(光学文字読み取り装置)を用いて、小説1点、新聞1点、映画のシナリオ1点を入力した。話されたもののコーパスに関しては,フランスのテレビの討論番組を2種類(合計約100分)を聞き取り、文字化、入力した。フランス人の協力を得て作成する独自会話コーパス作成に関しては、現在作成中である。話されたものにおける属格のenの使用頻度は極端に低く、分析するのに十分なコーパスはまだできていない。今後さらにフランス人の協力を得て、コーパスの量を増やす必要がある。 当初の研究計画では、今年度は市販コーパスの購入することになっていたが、適当なコーパスがなくまだ購入していない。来年度に新聞記事、小説のCD ROM化されたものなどを購入する予定である。 独自で作成した会話コーパスをCD ROMのかたちで国内外に配布するためにCDR(CD ROM焼き付け機)を今年度の予算で購入したが、まだ配布はしていない。今後、話されたもののコーパスの量をさらに増やしてから配布する予定である。 来年度は、今年度作成したコーパス、現在作成中のコーパスをCD ROM化して配布し、またそれらのコーパスを分析して、談話における属格のenの生起と名詞句の指示性の関係について論文を執筆する。
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