日本には韓国や北朝鮮にもない朝鮮本が多く伝存し、筆者は1910年以前の刊本・鈔本の総合目録作製と朝鮮印刷文化闡明のため、30年近く全国的調査を施して来た。本年度は昨年度に引き続き、東京では国会図書館・静嘉堂文庫・尊経閣文庫、関西では大阪府立図書館・京都大学図書館等を中心に調査と研究を行った。 本年度は約200部700冊程の調査を終了した。調査項目28項目中に刻工名も入っているが、現在17〜18世紀の刻工名を整理・入力しており、来年度中には印刷公開の予定である。これによって刻工名のある残本の刊年と刊地を決定することができる。他方旧蔵者の印も蒐めており、これは将来印譜にする予定である。序・跂をも集め出版機構や経緯も次第に判りつつある。
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