原スカンダ・プラーナに含まれるヴィンディヤ山の女神神話を語る全16章のうち、8章の校訂をほぼ終え、これらの章に関連して、以下の2論文をまとめた。 1. 原スカンダ・プラーナ第68章に語られる女神が水牛の魔神を殺す神話について、これまでに収集したマヒシャースラマルデイニー(「水牛の魔神を殺す女神」)図像と比較し、神話変遷と図像変遷の密接な関係を示した。 2. これまでに行ってきた『デーヴィーマーハートミヤ』研究に原スカンダ・プラーナの校訂・研究から得られた新しい知見を加味し、『デーヴィーマーハートミヤ』における大女神の成立過程について、特に碑文・図像から得られる当時の女神信仰の状況に留意して考察し、このテクストの成立年代・成立意義について新たな提案を行った。 この2論文については、3月初旬にインドにおいて、博士論文の指導教官であるハンス・バッカー教授(グロニンゲン大学)からレヴューを受けた。 これまでの現地調査で収集した、ヴィンディヤ山城中の女神信仰に関わる神像・寺院遺跡等の考古学資料を整理し、2月から3月にかけて、ヴィンディヤ山中および周域にて追加調査を行った。また、これらを評価・分析するためのヒンドゥー美術に関する資料の収集に着手した。
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