1.原スカンダ・プラーナに含まれるヴィンディヤ山の女神神話を語る全18章のうち、校訂を終えた13章の中の5章(前年度にレヴューを受けていない分)について、博士論文の指導教官であるハンス・バッカー教授(グロニンゲン大学)からレヴューを受けた。 2.第56、57章に語られるブラフマダッタ王伝説について、『ハリヴァンシャ』14〜19、及び『マツィヤ・プラーナ』等の他のプラーナ中の伝承と比較した結果、原稿のハリヴァンシャの批判校訂版が初期の伝承を伝えていないことが判明し、その成果を論文にまとめた。 3.ヴィンディヤ山の女神神話のうち、この女神の誕生と灌頂のモチーフについて、一方ではヴィシュヌ神話系のクリシュナの妹エカーナンシャーとヴィシュヌと関係の深い眠りの女神ニドラーという二女神との合体の過程、他方ではシヴァ系の神話の中でのシヴァ妃パールヴァティーとの融合過程について分析し、両者を比較検討した。また、シヴァ系神話については、スカンダ神の誕生神話とこの女神の誕生神話の影響関係について考察した。 4.第57章と63章に現われるアートレーイーという女性名について、ジャミソンが既に行っているヴェーダ神話中のアートレーイーのモチーフ研究を参考に、この女神神和衷でのアートレーイーという名のもつ意義を検討中である。
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