研究概要 |
本年度は,本研究の最終年度として,次の諸点の考察を中心に行った:(i)見せかけ目的語をとる結果構文とWay構文を分かつ特徴は何か;(ii)Way構文には,Meansとしての読みとMannerとしての読みの両方があるといわれるが,その違いはどこから来るのか;(iii)以上二つの問題と関連して,本研究代表者が採用する'causa1 chain'の概念を採り入れた概念構造モデルでは,Instrument/Means/Mannerは中間的な'causal chain'をなすと仮定されているが,もしそうだとすれば,この三者はどのような特徴によって,区別されるのか。 (i)に関しては,以下のような結論に達した。両構文ともに共通して,概念構造(CS)で合成されたものである。違いは,結果構文の方が,Meansを表すCAUSE-開数構造とCaused-Motionを表すCSとの合成であるのに対し,Way構文の方は,Meansを表すCAUSE-関数構造と'make one's way PP'を表すCSとの合成である。 (ii)に関しては,以下のような結論を得た。Meansとしての読みは,上記で述べた通りであるが,Mannerとしての読みは,MANNERの関数構造とMotion構文のCSとの合成である。この違いから,前者の読みでは,主語で表されるものが,外的困難さにもかかわらず移動したとの含みをもつのに対し,後者の読みではその含みはもたない,と言える。 (iii)に関しては,次のような考察に達した。まず,Instrumentは非節構造(non-clausal structure)であるのに対し,MeansおよびMannerは節構造(clausal structure)を成している。さらに,MeansとMannerを分かつのは,前者がEventの節構造であるのに対し,後者はStateの節構造であるということである。
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