研究課題/領域番号 |
10610517
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田窪 行則 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10154957)
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研究分担者 |
郡司 隆男 神戸松蔭女子大学, 大学院, 教授 (10158892)
金水 敏 大阪大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (70153260)
坂原 茂 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40153902)
坂本 勉 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 助教授 (10215650)
三藤 博 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 助教授 (60181939)
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キーワード | 今ごろ / マッピング / 時間スケール / 指示詞 / 構成素統御 / 束縛変項 |
研究概要 |
昨年度までに、統語論的な構造条件に支配されている言語現象と意味・認知的制約に支配されている現象を区別する方法を確立した。また、これを応用して、指示詞や時間名詞などの解釈の構造的に支配されている部分と、構造以外の要因に支配されている部分とを分離し、構造関係の原理と認知関係の原理を示した。構造要因は、「構成素統御がある」、「先行条件がある」のうちどちらかを満たさなければならず、しかもその判断は他の要因を十分制御すれば、非連続的であり、有か無かで判断できる。これに対し、認知要因は、基本的に連続的で、もっとも典型的なもののみが制約を必ず見たさなければならない。また、名詞句解釈のうち文脈に与えられる認知スケールに言及して初めて解釈が与えられる表現を取り上げ、認知スケールと名詞句解釈の関係を明かにした。 認知要因に関するものは、指示詞の直示用法を中心に行い、いわゆる直示のソに関する三上の謎に解決を与えた。認知スケールの役割に関しては、時間名詞「今ごろ」という語と形式名詞の「ところ」を中心に考察し、一見複雑に見えるこれらの語の用法が認知スケールという概念を導入すれば非常に単純な形で記述できることを示し、合わせて認知スケールそのものの構造と機能を明らかにした。 以上の成果は2001年6-7月、アメリカ言語学会の夏季集中講義および、国際認知言語学会で発表される。このため、共著者の南カリフォルニア大学Hoji準教授と打ち合わせ、かつ、認知的要因に関する理論モデルの創設者であるカリフォルニア大学サンディエゴ校Fauconnier氏にレビューを受けた。 以上の成果のうち主なものを成果報告書として冊子の形にまとめた。
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