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2000 年度 実績報告書

「普遍的」言語運用モデルの構築-日本語・中国語からの貢献

研究課題

研究課題/領域番号 10610519
研究機関東京国際大学

研究代表者

岡本 能里子  東京国際大学, 国際関係学部, 助教授 (20275811)

研究分担者 彭 国躍  神奈川大学, 外国語学部, 助教授 (00298374)
井出 祥子  日本女子大学, 文学部, 教授 (60060662)
キーワード普遍的言語運用モデル / 言語行動規範 / 社会文化的価値観 / ポライトネス理論 / 謝罪 / 『社記』 / 言語行為理論 / 『聖書』
研究概要

ポライトネス理論や言語行為理論などの欧米主導型の言語運用理論は,これまで欧米の言語社会文化的価値観に支えられながらも普遍的なものとされてきた。しかしその普遍性を明らかにするためには,それが異なる言語においても汎用性をもっていなければならない。そこで本研究は,個々の言語運用や言語形式に現れるミクロな言語事象を支えるマクロレベルの社会言語文化的価値観を探り,日本語と中国語の観点から,新たな「普遍的」言語運用モデル構築のための理論的考察を行い,その方法論を提言することを目的に企画された。
最終年度は,本研究の目的達成に向けてのマクロレベルの言語運用の原則を探るために,古代中国社会の行動規範を示すものとしての『礼記』と西欧のキリスト教文化の行動規範となる『聖書』とを取り上げ,規範を示す項目を整理し,言葉の禁則事項について比較考察した。更に,前年度までのパイロット調査の結果をふまえ,「謝罪」という同一言語行為場面を支える行動の規範意識を日中米語において探るために,質問紙を作成し調査を行った。
その結果,まず『礼記』における言語禁則では,その原則を発話参加者の人間関係や場面などのコンテクスト抜きでは説明できないものであり,社会的属性を捨象したポライトネス理論などの欧米主導型の言語理論とは対照的であることが明らかになった。質問紙調査では,言語行為理論の適切性条件を満たしていない場面においても,日本語では謝罪を行う傾向が強いことが明らかになった。これにより,欧米主導型の言語運用理論を再構築する必要性を提示する方法論の可能性を示すことができた。
『礼記』と『聖書』に示されている行動規範は,まだまだ多様なものがある。それらを継続して探り,更に同一言語行為の調査の種類もふやし,これらを地道に蓄積していくことで,より包括的な「首遍的」言語運用モデル構築に貢献していきたいと考える。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 井出祥子: "文化の時代と言語・コミュニケーション研究"社会言語科学. 4巻1号. 1-3 (2001)

  • [文献書誌] 井出祥子: "国際化の中の敬意表現-国際性と文化独自性"日本語学. 4月号(未定). (2001)

  • [文献書誌] 彭国躍: "松下文法「待遇」の本質とその理論的可能性-「価値の意味論」の枠組み"世界の日本語教育. 第10号. 191-206 (2001)

  • [文献書誌] 彭国躍: "古代中国の言語禁則とその社会的コンテクスト-『礼記』の言語規範の研究"神奈川大学言語研究. 第23号. 135-154 (2001)

  • [文献書誌] 岡本能里子: "相互行為としての会話教育-談話分析の研究成果を取り入れた談話管理能力育成試案-"総合的日本語教育. (未定). (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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