研究課題/領域番号 |
10610520
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
西山 佑司 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (90051747)
|
研究分担者 |
熊本 千明 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (10153355)
小屋 逸樹 慶應義塾大学, 法学部, 助教授 (80234904)
|
キーワード | 主題 / 指示 / コピュラ文 / 指定文 / 変項名詞句 / 属性名詞句 / 潜伏疑問文 / 提示文 |
研究概要 |
本研究の最終年度である本年度は、研究グループのメンバーがこれまで行ってきた研究成果をそれぞれ整理し、コピュラ文の主語名詞句と述語名詞句の指示性・非指示性の特徴付けを確認することに重点を置いた。具体的には、次の作業を行った。 1.日本語のコピュラ文のデータを集積し、これまでのコピュラ文の分類(「叙述文」「指定文」「同定文」「同一性文」)の妥当性を検討し、同定文、指定文以外の解釈の可能性を検討した。 2.「とくにおすすめなのがこのメニューです」のような文と英語の提示機能をもつ倒置構文"Equally difficult would be a solution to Russell's paradox."との類似性を検討し、「とくにおすすめなのが・・・」構文は同定文と類似しているとはいえ、むしろ提示機能があるという点で「提示文」であるということを論証した。(熊本2000参照) 3.これまで、多くの日本語文法研究家によって、倒置指定文「AハBダ」の「Aハ」は主題を表し、全体は有題文であるのは当然である、と考えられてきたが、本研究では、この通説を批判的に検討し、そこに潜む問題点を論じた。とくに、倒置指定文や指定文という構文の本質からして、この種の構文が有題文ではありえないことを論証した。また、この議論を手がかりにして、<「ハ」は(対照を表す用法でないかぎり)つねに主題を表す>とする日本語文法家のあいだで暗黙のうちに仮定されてきた見解が誤りであることを示した。(西山2000参照)
|