研究概要 |
1.研究代表者は、Douglas Oliver教授が1938-39年の実地調査の際収集した、ブーゲンヴィル島(パプアニューギニア)のパプア系言語モトゥナ語とその周辺言語の、厖大な手書き資料を、平成11年2月に譲り受けた。本研究では、そのうち、モトゥナ語の、語彙資料のすべて、および口承文学資料の一部の、整理・編集・コンピュータ入力によるデータベース化を行った。 2.特に語彙資料のデータベース作成に力を注いだ。語彙データは2種類のカード(計4,146枚)に手書きで記されており、判読が難しい上に重複や書き込みが多く、入力作業に予想以上の時間を費やした。次に、入力された一つ一つの語彙について、オーストラリア在のネイティブの研究協力者と綿密なチェックを行ったが、不明なものも多く残った。それは、島での内戦のため、現地で高齢のモトゥナ語話者とそれらを詳しくチェックする機会に恵まれなかったためでもあり、またこれらの語彙が含まれていると思われる口承テキスト資料の分析がまだ終わっていないせいでもある。いずれにせよ、現段階で可能な限り入念にチェックを行い、データベースを完成するとともに、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所より出版した。このデータベースは、将来、より包括的なモトゥナ語辞書を編纂するための、基礎資料として利用される。なお、編集の最終段階でのチェック作業で、特定領域研究(A)(2)「ブーゲンヴィル島(パプアニューギニア)のパプア系諸言語に関する総合的研究」の予算の一部を使った。 3.モトゥナ語口承文学資料の整理・編集・データベース化については、2で述べた特定領域研究(A)(2)の中で継続して行われている。 4.レビューアーであるオーストラリア国立大学のR.M.W.Dixon教授およびAndrew Pawley教授からは、口承文学資料集・辞書の編纂方法等に関して、研究の過程で多くの有益なアドバイスと指導を受けた。
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