研究代表者は、昭和58年パソコンを利用した最初の言語地理学的データ処理システムSEALを開発、その後も械器の進歩に対応するためにシステムの改訂を進め、平成6年度にはMS-DOS版BASlCのコンパイラ版、平成9年度にはWindows版に移行した。この結果、操作性の向上、既存のソフトとの連携の容易化、地図のカラー化、印刷の精緻化などの点で改良された。本研究は3年をかけて、実際のデータヘのさらなる応用分析を進めながら、このSEALシステムの改訂・整備を継続することを計画している。2年目の今年は、次のことを行った。 (1)研究代表者自身の分析研究上の要請とユーザーの要望に基づいてSEALシステムの再改訂を行った。ver.5.5さらにver.5.6を言語地理学ホームページ(http://www.nicol.ac.jp/〜fukusima)を通じて公開、フロッピィディスク送付あるいはダウンロードにより提供した。改訂のポイントは、地図の大きさ指定や併用時のはんこの位置設定、フォントのサイズと種類の指定ができるようにしたこと、凡例にあげる語形が多い場合に対応できるようにしたことなどである。 (2)SEALを活用しての日本語方言データの入力と分析を継続した(奄美徳之島方言、出雲西南部方言)。特に、奄美徳之島方言データの分布状況について夏の国際学会(Methods X)で発表、さらに論文にまとめた。また、来年度の夏の国際学会(3rd ICDG)において、昨年度の補充調査の成果を加えた研究成果の発表を予定している。
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