研究課題/領域番号 |
10620008
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
瀧澤 栄治 神戸大学, 法学部, 教授 (10183451)
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研究分担者 |
飛世 昭裕 帝塚山大学, 法政策学部, 助教授 (20227606)
田中 実 南山大学, 法学部, 助教授 (60217081)
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キーワード | 学説彙纂 / ビザンツ法学 / 中世ローマ法学 / 人文主義法学 / 賃貸借契約 |
研究概要 |
1.研究成果 本研究は学説彙纂第一九巻第二章「賃貸借locatio conductioについて」に収められている諸法文につき、ビザンツ法学、中世ローマ法学及び人文主義法学におけるその解釈を明らかにすることが目的であった。この目的達成のため二年間に亘り行ってきた研究の成果は以下の通りである。 (1)ビザンツ法学 バシリカ法典に付せられた六、七世紀のビザンツ法学者の注釈を見ると、法文の理解及び他の関連法文の参照に関しては、中世ローマ法学のそれと比べて遜色がないこと、興味深い注釈が散見されることを本研究においても確認することができた。 (2)中世ローマ法学 アックルシウスの『標準注釈』を適宜参照したが、これに関しては概ね他の領域と比べ特に異なるところは見ることができなかった。 (3)人文主義法学 特にドネッルス『市民法注解』第一三巻第六章から第九章を検討した。ローマ法の賃貸借から近代法での賃貸借、雇傭及び請負への分離の途中の過程におけるドネッルスの整理、体系化への具体的作業を明らかにすることができ、これは大きな収穫であった。 2.反省と今後の課題 中世ローマ法学については『標準注釈』のみを部分的にしか参照することができなかったことは反省点である。これに対してビザンツ法学については、今後さらに研究を進めていくための十分な基礎を得ることができた。さらに、ドネッルスについて言えば、その叙述を丹念に追いかけた研究として我が国初のものであると言ってもよいものと自負している。今後は、以上の研究を基礎として、引き続き賃貸借を題材に「体系思考の学者」ドネッルスと「釈義的な学者」クヤキウスとの対比を浮き彫りにすることを予定している。
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