今年度も、研究協力者とともに日本の名誉毀損法制が抱える問題点についての研究を発展させるとともに、それと並行してドイツの名誉毀損法制についての研究を進めた。 日本の名誉毀損法制については、本年度中に研究成果をまとめ、公表する予定であったが、作業が遅れでいることもあり、2002年末までの刊行を目指して現在もなお準備を進めているところである。本年度は研究成果の刊行準備のために研究協力者全員との打ち合わせを行ったほか、とくに秋吉健次氏と山田健太氏の協力を得て、日本の判例の分類・整理のうえ、分析を加えた。ロス疑惑報道をはじめ、日本の名誉毀損・プライバシー侵害に関連する判例をさまざまな観点から分析した研究成果は、研究協力者の分担執筆により、図書として出版の予定である。 研究代表者は、この他、判例分析を行い、テレビ朝日ダイオキシン報道訴、NHK「生活ほっとモーニング」事件、小説『石に泳ぐ魚』事件東京高裁判決についての判例評釈を公表したほか、少年と精神障害者による犯罪の報道のあり方についても検討を加えて公表した。ドイツの名誉毀損法制についての研究成果も、近日中の公表を目指して現在執筆を進めているところである。
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