公私の協働的な行政スタイルの持つ法的な問題点を、特に行政法的な観点から分析することが課題であった。今年度上半期においては、昨年度からの調査・研究活動の延長として、特に公私協働的な行政を前提として、公共調達法制の適正化、PPPと公共調達法制の関連について、特にドイツ法を中心に比較法的な検討を進めるとともに、公私協同的な行政手法の典型として、私的組織による基準・規格の策定という現象をとりあげ、特にその公正性、中立性維持のための制度的なしくみと国際規格の内容の検討を行った。また、環境管理システム、品質管理システム、個人情報管理システムについで、現在焦点となっている労働安全衛生管理システムについても、労働安全衛生行政との関わりで、その意義と法的な課題を明らかにすることができた。 こうした公私協働的な社会管理のシステムは、従来の行政による規制・監督手法の専門性に関する限界や人的なリソース不足による限界を補い、私的組織が有する能力や資源を利用して、自主的な品質管理・安全管理を達成することができるというメリットを有するが、安易に行政による規制・活動の削減や緩和と結びつけられてはならず、また私的組織による検査・認証活動も、規格の上では一定の中立性公正性確保のしくみができているもののそれら規格の適用についての実態調査が必要なことなどを明らかにすることができた。
|