研究としては、従来の過去の親子関係法の構築と分析、および新しい問題として人工生殖によってもたらされる親子関係をどのように評価するかという課題、さらに養子縁組についても視野をひろげて論文を執筆した。 民法の親子法の規定をめぐる従来の通説であった血縁主義的解釈は、実際にはわが国特有の、民法の解釈論としては異様な議論であった。法律上の親子関係は、民法の要件規定によって定まるものである。血縁がそのまま法律上の親子関係になると解釈は、民法規定を否定する解釈である。この間、私の以上のような考え方に基づく議論は、嫡出推定制度について最高裁判判決の容れるところとなったが、養子と実子を峻別する養子法の議論や、非嫡出親子関係についての認知無効等については、今後も議論を深める必要がある。今年度は、それらについて執筆、研究を進めた。
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