独占禁止法の改正により、純粋持株会社が原則として解禁され、新規の企業組織形態が利用可能となったころから、社会法のうえでもさまざまな問題が生じることとなった。今年度の研究では、まず純粋持株会社の解禁により社会法上検討すべき課題を次の3つに整理した。(1)連結情報のディスクロージャーの充実、監督・監査体制の充実のように、純粋持株会社において特に必要性が高い事項ではあるが、株式会社一般に検討を要すべき事項、(2)従属会社における少数派株主保護や債権者保護など、純粋持株会社において顕在化する問題ではあるが、支配従属関係にある会社一般に検討を要すべき事項、(3)重要な従属会社における一定の意思決定に、純粋持株会社の株主を関与させるべきかどうかなど、純粋持株社会の登場により新たに生じる、純粋持株社会に固有の問題。 この問題の整理を基礎として、今年度の研究では、特に(3)に属する問題を検討し、純粋持株会社においては、重要な従属社会における一定の意思決定(合併、営業譲渡など)に、純粋持株会社の株主を関与させるべきではないか、また従属会社取締役の責任を追及するための代謝訴訟起権を、純粋持株会社株主にも付与すべきではないかといった、立法による解決の方法を見い出すことができた。 はお平静11年の商法改訂により、親子会社関係の創設のための新たな手続(株式交換制度)が導入されるとともに、子会社の業務内容等の開示規則が充実される見込みである。今後の研究においては、この商法改正の当否も視野に入れて検討を行っていく必要がある。
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