研究概要 |
本研究は、組織犯罪対策について、各国の最新の法制度を比較法的に検討し、組織犯罪対策における各国に共通した問題とわが国独自の問題を明らかにし、それに対処するための法的枠組みについて検討することを目的としている。本年度は、1,組織犯罪対策について、わが国及び諸外国の実態を把握・分析し、これに対処するための現行の法制度の枠組みとその問題点を検討するため、(1)文献及びインターネットを利用して我が国及び諸外国の情報を収集するとともに、(2)警察庁・法務省・弁護士会などの実務関係者からの情報収集を行った。また、組織的犯罪処罰法案の実体法上の規定について、立法論的検討を行い、その結果を、論文の形で公表した。 具体的な研究成果として、組織犯罪対策には、(1)組織に焦点を当てた規制を行う必要があること、及び、(2)不法収益の規制が不可欠であることの2点について国際的な合意が形成されていること、そのための立法としては、比較法的には、(1)犯罪的結社罪、(2)資金活動規制法、(3)加重処罰規定、(4)マネーローンダリング罪、(5)事業支配罪等があること、わが国の法制度のもとでは、暴力団対策法が(2)に対応しているがその効果についてはなお慎重な検討が必要なこと、組織的犯罪処罰法案は(3)ないし(5)の創設を図ろうとしたものであるが、その目的において正当なものがあるにしても、規定の具体的な内容については、なお慎重な検討が必要であること、などの知見が得られた。これらの知見に基づいて、来年度の研究を進めていきたい。
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