平成10年度は、持続可能な世界秩序モデルに関する文献調査と政策エリートヘの予備的インタビューを行い、その結果に基づき、モデルを試験的に類型化し、攻策エリート間に国境を超えた認識共同体(Epistemic Community)が生成状況を分析するための枠組みづくりにとりかかった。平成11年2-3月にかけて、ドイツとアメリカの研究所でその分析枠組みのレビューを受け、意見を交換した。 1.モデルの類型化 (1)持続可能性の定義と文献調査 (2)持続可能な世界秩序モデルの分類 (3)システム転換を支える認識共同体の分析枠組み構築 2.レビュー (1)Max Planck Institute for the Study of Societies(ドイツ・ケルン市) (2)The Peace and Development Foundation(ドイツ・ボン市) (3)ハーバード大学Center for International Affairs(米国ケンブリッジ市) (4)The Southern Center for International Studies(米国アトランタ市) 平成11年度は、持続可能な世界秩序に関し、先進国、特に、日米独三国の政策エリートの意識変化の実態を明らかにするために、文献調査の焦点をしぼり、国際政治学における各学派(現実主義、制度主義、批判的理論、構造主義など)の描く世界秩序(無秩序)像を分析し、さらに、国際政治学の枠を超え、広く、持続可能性に焦点をしぼったモデルの特徴を分類し、各特徴につき、先進国の政策エリート間での支持分布状況を、主として文献調査に基づき、調査した。同時に、研究の第二段階として近い将来実施予定の、政策エリートヘのインタビューとアンケートのための具体的質問を作成する作業にとりかかっている。 新たな研究成果のレビューを受け、そこでのコメントをも参考にしつつ、本報告書に収められた論文を作成し、世界最大の国際政治学会である、International Studies Associationの2000年度年次総会で発表し、多くの有益なフィードバックを得るとともに、単行本としての出版を検討したいという申し出を米英の出版社から受けた。
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