本研究は、沖縄に配備されている米軍を含め在日米軍の削減は、どのような条件で、いつ、どの程度の規模でもって可能であろうかという設問をたてて、それへの回答を探ることにある。アプローチとして、三つを設定した。第一に朝鮮半島情勢の変化、第二に日本国内の政治的環境の変化、第五に米国の東アジア戦略の変化である。 本年度は、在日米軍のプレゼンスをめぐる歴史分析および現状分析を行うために、二度にわたり渡米した。まず、歴史分析のために、アイゼンハワー大統領図書館、トルーマン大統領図書館において対日政策の決定過程に関する公文書を入手した。また、98年末に公開された米国務省記録を米国立公文書館にて収集した。それによって、1972年の沖縄の施政権返還に際しての日米両政府間の文渉過程を把握することできるばかりでなく、日米同盟の形態が浮き彫りなる。とりわけ、歴史的な分析によって日米安保体制の抱える課題を明確にできた。 また、95年以降の日米同盟に関する現状分析を行った。1997年に合意された日米防衛協力の指針(新ガイドライン)がなぜ必要だったのか、どのようなプロセスを経て出来上がってきたのかを検討した。米海兵隊の砲撃訓練が国内分散配置されたので、北海道の矢臼別演習場の地元を訪問した。 以上の研究成果を、別添のように発表した。
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