11年度の目的は、集計データの分析と事例研究の実施であった。 合併の政治的効果に関しては、集計データをもとに2通りのサンプリングを行い、分析をした。その結果は「研究発表」に掲示している世界銀行編の書物に収録される論文に取り入れられている。結論は、合併は政党間競争および投票率に対してネガティブな影響を及ぼすとはいえないというものであった。合併の経済的効果については、時系列による分析は、合併以外の環境変化の影響をコンロールすることが容易ではないために、短期的な影響に関しては困難が多かった。長期的な影響については、経済学者による人口規模と人当たり経費の比較に関する静態的な研究の手法を参考にした。 事例研究としては、直近に合併が行われた篠山市を調査した。同市は平成11年4月に篠山町、丹南町、西紀町、今田町の4町合併によって誕生した市である。しばしば指摘される地方議員の抵抗がここではそれほど強くなかったこと、その原因を旧4町の人口配分したがって議員数の配分が2極化していることに求めることができるなど、合併に至る経緯についてはいくかの発見があった。また、旧4町を社会的に統合する努力については、これまでの合併事例の経験がいかされていることなど、学習効果が大きいことが判明した。民主化効果については、合併後の中間団体の再編の動きを中心に引き続き調査する予定である。
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