(1)ネットワーク形成に関する論文(On the Efficiency and Stability of Networks)では、(i)ネットワーク形成のインセンティブがあっても、そのようにして形成されたネットワークが社会的な厚生を最大にしないこと、また逆に(ii)社会的に望ましいネットワークを形成するためのインセンティブが欠ける場合のあることを、さまざまなケースについて検討した。さらに(iii)インセンティブと効率性が両立するための十分条件のいくつかを示した。(2)また「企業の貢献と最適参入」について論じたOptimal Entry and Contribution of a Firmでは、まず「企業の社会的貢献」の概念を、「産業内に新たに企業が参入した後の最大厚生と参入前の最大厚生の差」として定義し、その値と参入企業の利潤の大きさとの関係を検討した。とりわけ企業の数が連続濃度の無限大の場合には、いくつかの明確な結論を導くことができた。古典的な経済環境の下での(i)競争モデルでは、企業の貢献と利潤が等しく、参入企業数が最適になること、また(ii)独占的競争モデルでは、利潤が企業の貢献を上まわり、参入が過大になることが主要な結果である。
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