研究概要 |
1. 本年度の研究成果 (1)論文「銀行の自己資本の変動と経済の不安定性」(『国際政経論集』(二松学舎大学国際政治経済学部),第7号1999年3月)(2)口頭発表(「銀行の自己資本の変動と経済の不安定性」,ポスト・ケインズ派経済学研究会,1999年3月6日,立教大学) 2. 研究成果の概要 民間銀行の自己資本関数を定式化し,自己資本の変動とマクロ経済の不安定性との関連を分析した。モデルの構成と仮定ならびに結論は次の通りである。 (構成)1.企業の投資関数と投資の資金調達。2.家計の資産選択。3.民間銀行の自己資本関数と預金供給関数。4.短期均衡の安定性と比較静学。5.長期的不安定性と金融的要因 (仮定)(1)限界投資性向は限界貯蓄性向より大である。(2)民間銀行の自己資本と預金供給は産出・資本比率の増加関数であり,社債利子率の減少関数であ。(3)預金市場の調整は安定的である。(4)民間銀行は利子率セッター・貸出量アジャスターである。 (結論)(1)(短期均衡の安定条件)民間銀行の貸出供給率が1より小さい。(2)(長期均衡の不安定条件)(ア)資本蓄積率と預金需要が産出・資本比率と社債利子率に関して弾力的である。(イ)貸し出しに対する銀行の要求リスクプレミアムと社債保有に対する家計の要求リスクプレミアムが産出・資本比率に関して弾力的である。 (c)民間銀行の自己資本比率は低く,貸出供給率は高い。
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