研究概要 |
1 研究の目的(1)銀行行動を含むマクロモデルによって, 金融的不安定性が生じる条件を分析すること。(2)そのモデルを二部門モデルに拡張すること。 2 (1)(1)におけるモデルの特徴(1)企業の投資資金調達が定式化されている。(2)銀行の自己資金とバランス・シートの調整方程式が安定化されている。(2)長期的な不安定性の主な条件(1)貸出に対する銀行の要求リスクプレミアムと社債保有に対する家計の要求リスクプレミアムが算出・資本比率に関して弾力的である。(2)民間銀行の自己資本比率が低く、貸出供給率が高い。 3 (1)二部門モデルの特徴(1)数量調整(独占)部門と価格調整(競争)部門からなる。(2)独占部門は銀行借入と証券発行によって資金調達を行い、競争部門は銀行借入によってのみ資金調達を行う。(3)銀行は独占部門に対して優先的に貸付を行い、競争部門には残余資金を貸付ける。(2)長期的な不安定性の主な条件(1)独占部門の稼働率と証券利子率が両部門の負債・資本比率と銀行の自己資本・資本比率に関して弾力的である。(2)競争部門の交易条件が銀行の自己資本・資本比率に関して弾力的であり、自部門の負債・資本比率に関して非弾力的である。(3)銀行の独占部門に対する要求リスクプレミアムが同部門の負債・資本比率に関して弾力的である。(4)銀行の競争部門に対するリスクプレミアムは同部門の交易条件に関して弾力的である。 4 研究成果の評価(1)本研究の成果は博士論文(千葉大学大学院社会文化科学研究科へ平成12年2月29日に提出)としてまとめられた。(2)二部門モデルのマンデル=フレミング型の二国モデルへの拡張は今年度中に完成させることとする。
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