本研究は、日米両国の諸経済分野における「情報レベル」を調査し、それぞれの分野の特色を勘案しつつ経済活動と「情報レベル」の関係を見いだすことを目的とし、特定分野の経済活動・情報活動内容を詳細に調べるより、複数分野の相互比較から、経済活動レベルと情報レベルの高低の関連を見いだすことに重点をおいた。その結果、下記の仮説を肯定的に受容することができたと考える。『経済活動で必要とされる協力(coordination)の「範囲」と「密度」は、分野ごとに相違する。協力「密度」は低くとも、その「範囲」が広い分野の経済活動を活性化するためには、高い「情報レベル」が必要である。』 前年度においては、主として、理論分析を実施したが、本年度においては、当初の研究計画にしたがって、「相当数の「経済分野」について、それぞれの分野の「経済活動レベル」と「情報レベル」の日米間の差を「計測」し、複数分野にわたって両者の関係が存在するか否かを、それぞれの分野の特色を考慮しつつ検証した。 対称とした「経済分野」の例は下記の通りである。(1)製造業(自動車産業、家庭電器産業など)、(2)情報通信産業、(3)資産・資金関係、(4)サービス業、(5)株式会社と株主、(6)公的規制当局と事業者(テレコム、電力、金融、薬品など)。それぞれの分野について、経済活動レベルを表す指標を選び、日米両国の格差指標を作成した。また、それぞれの分野について、経済活動の基盤となる情報を種別ごとに収集し、適切な手法を選んで「情報量」指標を構成し、両国間の「情報レベル」格差指標を作成した。
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