本研究では、測定誤差のある経済データを解析するための計量経済学的手法の開発を目的としている。本年度は、本研究を進めるにあたり必要と思われる文献、データの収集を行うとともに、Engel関数の推定において、説明変数と被説明変数の測定誤差に相関が存在する場合のBayesianモデルの開発を行った。現在、開発したBayesianモデルを用いて、下記の論文を作成中であり、完成の後、専門誌に投稿する予定である。 1. “Bayesian analysis on Engel curves estimation with measurement errors and an instrumental variable"(仮題) この論文では、データの測定誤差のみならず、操作変数も導入した形で理論構成を行っている。推定するための理論モデルは完成しており、本年度の科学研究費によって導入したワークステーションにより英国の個票データに基づく数値計算を行っている最中である。 2. “A Bayesian analysis of HOGLEX demand systems using unit records for major ASEAN economies:Thailand and Philippines"(仮題) この論文では、オーストラリアの研究者と共同で、タイとフィリピンの個票データを用いたEngel関数の推定を行っている。現在、データに測定誤差のない場合について推定を行っており、今後、測定誤差を加えた理論モデルの構築とその推定を行う予定である。
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