研究概要 |
本研究では、多変量間の非線形関係をモデル化する際に利用するシミュレーションベースによるアプローチの応用可能性を研究する際に、多変量化の一つの方向として、非線形モデルのよる予測値を結合する結合予測量を提案し、様々な経済時系列に適用してその有効性を確認した。具体的には、非線形性をある程度示す時系列に対して周辺モデルである線形自己回帰モデルと非線形モデル(閾値自己回帰モデル、指数自已回帰モデル)を結合しそれぞれの特徴をポイント・ワイズに捉えることの出来る分析モデルを提案した。その際、結合係数が一定のモデルと時間と共に変化するモデルの両者を考え、前者は標本全体として各周辺モデルの優位性を評価でき、後者は各時点でモデルの役割を評価できるモデルを提供する。様々な経済時系列に対してこれらの方法を適用し、内挿においては結合予測量が周辺モデル予測量を一様に凌駕し、外挿においても結合予測量が有効な局面が多く存在することを確認した。これらは、Nobuhiko Terui and Herman K.Van Dijk,"Composite Forecasts of Linear and Nonlinear Time Series Models", Working Paper No.A-49,Institute of Economic Research, Kyoto University,1998年10月(1999年11月改訂:Discussion Paper TI2000-03/4,Tinbergen institute,Erasmus University)で纏められている。 この他、連続時間で記述された多くのマクロ非線形経済動学モデルの"局所線形化"法による統計的推測を扱い、実際の経済データに応用し実証分析を行い、Estimation and Inference on Continuous Time Nonlinear Time Series Models として Sixth Valencia International Meetings on Bayesian Statistics,Valencia,Spain(1998年6月2日)で報告されている。また、マーケットシェア時系列に対して、マーケットシェアそれ自身および他ブランドの過去のダイナミックスによって相互に規定される関係を記述する多変量自己回帰モデルに基づいてモデル化し、動学的マーケットシェアモデルの構築とそれによる自動的な予測システムを提示した。これは、Nobuhiko Terui,"Forecasting Dynamic Market Share Relationships"として学術誌Marketing Intelligence and Planning,vol.18,No.2,(2000年5月)に掲載予定である。
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