研究課題/領域番号 |
10630028
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
椎名 恒 北海道大学, 教育学部, 助教授 (50281762)
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研究分担者 |
佐藤 真 岩手大学, 教育学部, 助教授 (00192097)
木村 保茂 北海道大学, 教育学部, 教授 (40003959)
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キーワード | 公共事業 / 建設業 / 下請 / 失業者 / 地域社会 / 談合 / 公的就労事業 |
研究概要 |
研究計画に沿いながら各種調査を実施した。(1)公共事業入札参加資格業者調査、(2)建設業界団体調査、(3)建設下請業者・団体調査、(4)建設労働組合調査、(5)公共職業安定所調査、(6)建設労働者・失業者・ホームレス調査、(7)廃業者調査、(8)発注官庁調査、(9)その他である。アンケート調査は3種類、ヒアリング調査は調査対象地域内の7行政機関、6企業、5業界団体、6労働組合、約50人の労働者・失業者・廃業者に行なった。 多岐にわたる調査対象や調査・作業内容を貫ぬく基本的問題意識は、第一に必ずしも概念化されていないが、さしあたりいわゆる「公共事業社会」を構成する諸主体とそれぞれの関係する機構や組織の現段階の内部的相互関係を含む変動-揺らぎの広がりを具体的に把握する点にあった。この点で大半の主体が変動の波に洗われ。それが見出しにくい主体もマスコミや世論など外部の影響を強く意識していることが確認された。 第二に諸主体相互の関係について、建設産業と公共事業をめぐる「発注主体-元請企業-下請企業-労働者-失業者」の部面に関しては、発注主体の公共事業の失業者吸収機能の再認識とも評価できる公的就労事業の端緒的着手・拡大、公共事業入札発注システムの変容に対応する元請業者サイドの対応の変化、癒着・談合・天下り等への業者サイドの自己反省志向の拡大、元請-下請間の相互認識の変化、公共事業現場労働者の公共事業批判の拡大や失業者、あるいはホームレス層との一体的認識の端緒的形成などが確認された。 第三に、「公共事業関係当事者と地域住民との関係」の部面における変容については、地域住民サイドからの情報公開要求、労組やNPOなどもこれらに関与する主体としての役割を強めはじめる動きなど公共事業をめぐる住民運動や批判的世論の拡大、公共事業関係当事者サイドからのそれらへの対応や一定の見直しの動きを確認した。
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