研究課題/領域番号 |
10630028
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
椎名 恒 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (50281762)
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研究分担者 |
佐藤 真 岩手大学, 教育学部, 助教授 (00192097)
木村 保茂 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40003959)
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キーワード | 公共事業 / 建設産業 / 失業者 / 談合 / 下請 / 季節労働者 / ホームレス / 労働力陶冶 |
研究概要 |
第一に、公共事業の改革主体は「公共事業社会」を構成する地域住民が中心だが、それに公共事業就労労働者や中小建設業者が連携することが欠かせない。したがって連携・共同する政策を明確にすることが重要となる。この視点から前年度に実施した公共事業入札参加資格業者アンケートデータの集計と分析を行ない、地域間の一定の相違をはらみつつに、公共事業社会を超える条件を持つ中小業者を改革主体のコア部分として析出した。 第二に大規模公共事業現場(北海道開発庁発注忠別ダム工事)調査を実施し、現場労働者に対する面接調査等を通じ、地元旭川をはじめとして道内各地域に居住する通勤型季節労働者の存在を確認した。ダム現場労働者は、I道内各地出身現場宿舎居住者、II周辺地域の自宅通勤者に大別される。このうちIは、盆や正月だけに帰省する道内出身出稼ぎ者(IA)と毎週のように週末に道内各地の自宅に戻る「金帰月出者」(IB)が存在する。したがってIB及びIIの労働者は、居住地域における揺らぎを深める「公共事業社会」や「公共事業社会」を超える新たな社会的関係(労働組合への結集等)の形成可能性が注目された。 第三に、「地域公共事業社会」の揺らぎが、最も鋭く集約的に現れているともいえる社会的に排除された存在として増大する路上生活者について、札幌と旭川を中心に実態を探った。このなかで、彼らの主たる出自が公共事業-建設労働者であることが確認されたが、彼らの真の「自立」の方向は「公共事業社会」への復帰に止まるものではなく、それをこえる新たな地域社会形成の実体的内容として構想されるべきであることが示された。
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