1、この研究は、わが国の人材育成システムに関する研究である。研究の中心は自動車・電機・鉄鋼各産業の人材育成と職業能力開発短大・同促進センターの実践的教育についてである。 2、従来、人材育成の中心は自己啓発とOJTであり、Off・JTはそれらを補完するものとして位置づいていた。しかし、最近、Off・JTの比重は高まり、人材育成の中心を成すに至っている。 3、Off・JTは事業場別研修と職能別研修に大別される。教育訓練センターはそれらを支援する形で、それぞれに幹部教育、管理教育、技術教育、技能教育、その他を実施している。 4、幹部教育では経営幹部層に対する経営理念・経営戦略の教育が、また管理教育では中間管理者、監督者、各種リーダー、トレーナーに対するマネジメント教育が行われている。 5、急激な技術進歩に対応して、技術教育の必要性が増大している。技術者に対しては基礎から応用にいたる技術・知識の教育が、また技術責任者に対してはマネジメントの教育が行われている。 6、技術開発と国際化の動向は、生産部門にも著しい変化をもたらした。自動化・情報化に対応して、先端技術の活用を含む高度な技能教育が行われている。 7、職業能力開発短期大学校は全国に26校あり、それぞれに2年制の専門課程と短期間の能力開発セミナーがある。専門課程では技術革新に対応できるテクニシャンの養成を、能力開発セミナーでは在職者を対象に各種の教育訓練を行っている。 8、職業能力開発促進センターは、求職者や在職者のために多様なセミナーを用意すると同時に、使用者のために教育訓練に関する相談・支援業務を行っている。
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