3年にわたる作業によって以下の知見を得た。 イギリスでは、推計によると570万人(95年)の在宅介護者を数える。これは、6軒に1軒の世帯に1人の在宅介護者を擁することになる。570万のうち170万人の在宅介護者は、週に少なくとも20時間をかいごにあてる。同じく85万5000人の在宅介護者は、週50時間以上を介護に あてる。 在宅介護者は、家族と地域に多大な貢献をする。これは、はかり知れない社会的かつ情緒的な貢献であるばかりでなく、およそ340億ポンドに相当する労働である。 本研究は、340億ポンドを在宅介護者に支払うべきだと主張するわけでなく、介護労働の経済的な価値と政策上の評価との格差の縮小を求めるものである。 障害者や高齢者の関心を承認することとあわせて、在宅介護者のニーズに正当に関心を払わなければならない。いいかえれば介護の当事者双方に関心を払う政策の立案である。 在宅介護者に関心をあてた政策とはなにか。それは、サービスによる支援、雇用関係の施策及び所得給付の3つからなる。 コミュニティケアに関する90年法、在宅介護者の承認とサービスに関する95年法、在宅介護者と障害児に関する2000年法は、いずれも在宅介護者の「生活の質」(QOL)の改善を目標におく立法であり、これらを根拠法にする施策の展開状況を検討するとき、在宅介護者のニーズに的を絞った施策の一定の実効性を認めることができる。
|