・4年間の研究期間の3年目にあたる12年度は、日本の非営利セクターのなかで重要な位置を占める「文化・教育セクター」について研究を行った。 ・文化・教育セクターの経済規模と構造(団体数、法人化の動向、マクロ経済規模、団体の規模と格差、収入構造、公的補助の動向と性質など)について、個別法人の財務データを整理し、産業組織論的にみた特徴を調査するとともに、この分野の公的規制や産業組織政策のあり方をレビューした。 ・教育セクターにおいて、非営利の私立学校の占める地位を中心として、地域による違い、時代による違い、教育段階による違いはどのようなものか、調査した。さらに、こうした非営利教育機関の占める地位の違いをもたらす要因について、需要の多様性、所得・生活水準、宗教の影響、公立学校の配置などを中心に検討した。また、オーナーシップの違いがいかなるパフォーマンスの違いを生み出すか、理論的・実証的に検討した。 ・博物館、劇場、オーケストラ、コンサートホールなど、文化セクターにおいて、公的企業、民間非営利組織、民間営利企業がそれぞれ果たす役割について、数量的に把握するとともに、その特徴を整理した。また、それらの地域差および時系列変化についてデータを整理するとともに、その要因について、理論的、実証的な検討を加えた。さらに、オーナーシップの違いがいかなるパフォーマンスの違いを生み出すか、理論的・実証的に検討した。 ・以上の研究に関する成果を、日本経済学会、日本NPO学会、Korean Association for Public Administration、International Society for Third-Sector Research 4th International Conference、韓国延世大学、などにおいて開催された学会、研究集会等で発表した。
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