1.労働分配率の下落と雇用の悪化の関係の解明の一環として財政政策の雇用創出効果について考察した。それが産業構造の変化に依存する可能性が高いため各年のドイツ産業連関表をRAS法によって作成しそれに基づいて政府固定資本形成が雇用水準に及ぼす影響を推定した。その結果雇用創出効果は趨勢的に低下していることが確認された。しかし財政政策が雇用創出効果を持たない訳ではないことも同時に確認できた。 2.等価所得尺度についてはLIS(リュクセンブルク所得研究所)のデータを援用する計画をたて、推計に必要なプログラムを作成した。 3.LISの有するドイツの家計支出データ(EVSのミクロデータ)は最近のものではないのでミクロデータによる計算結果と、比較的容易に利用できるEVSの集計データによる概算結果がどの程度相違するかの考察を行った。この結果についてはLISのワーキングペーパーとして受理される必要があり現在準備中である。 4.日本については家計調査のミクロデータが利用できないのでVan Praag/Van der Sar法による推計を行うことにし、アンケートを実施した。ただアンケート回答率が低く結果の有意性に疑問がありアンケートを継続中である。
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