[本研究の目的と課題]ロシアにおける市場経済の形成過程とロシア経済の世界経済への統合過程をロシア極東に即して調査研究することが本研究の目的である。そのために次の三つを調査研究の課題としている-(1)ロシア極東地域開発政策におけるプログラム策定手法、開発ガイドライン、開発方法、開発実施主体、開発資金源泉の調査研究、(2)ロシア極東地域統計の収集、形成途上にある統計制度と統計方法の調査、統計方法に相違をもつ行政単位間のデータ比較の方法の研究、(3)ロシア極東の市場経済化と経済開発の課題を旧ソ連邦諸地域との比較において明確にすること。 [(1)の課題について]移行の課題と開発の課題とは同時的に存在している課題であること、しかも移行の課題は開発の課題の解決のありように依存していること、したがって、移行と開発の課題にとってロシア極東における開発イッシューを的確に把握することが研究の核心に位置するする必要があること、この二つのことが調査の進行につれていっそう明らかとなった。ここでの開発イッシューは、一言で言えば、計画経済の残存産業構造の置き換えである。これは開発資金源泉を上位に置く研究アプローチとは視点を異にする。 [(2)の課題について]先行年度に引き続いて統計データ収集とデータベース構築の作業を持続している。 [(3)の課題について]ロシア連邦内の多くの諸地域およびロシア以外のCIS諸国についてもロシア極東と共通の開発イッシューを観察することができる。 この開発イッシューヘアプローチする上での適切な概念と分析用具を準備すること、実際に開発イッシューの構造を明らかにすることが今後の課題である。先行年度の調査研究の成果を含めて次年度の目標は学術図書の形でこの課題を仕上げることである。
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