「都市規模と事業所の開業率・廃業率」は、日本における事業所展開が新たな局面を迎えつつあるという認識のもとで、平成3年〜平成8年のデータにもとづいて、事業所の開業率、廃業率、増加率の観点から、日本における事業所数の変化と都市規模との間の一般的傾向性を明らかにした。主要な結果は次のとおり。(1)開業率については、「都市の全産業、製造業、卸売小売業・飲食店、及びサービス業のすべてについて一般的傾向性に違いはなく、対数表示開業率は対数表示人口規模の上に凸の2次関数の関係がある。」(2)廃業率については、「都市の全産業、卸売小売業・飲食店、及びサービス業については、対数表示廃業率は対数表示人口規模の右上がりの1次関数の関係があり、製造業については下に凸の2次関数の関係がある。」 「都市規模と事業所の年齢」は、平成8年のデータにもとづいて、全産業と主要3産業(製造業、卸売小売業・飲食店、サービス業)の4産業について、まず、都市規模と事業所の年齢の間の一般的傾向性を明らかにし、次に、それを応用して、事業所の年齢の観点から、中国地方あるいは山口県を例にとって、特定地域の特徴を明らかにする方法を示したものである。その主要な結果は次のとおり。「都市の対数表示の事業所年齢は、対数表示の人口規模の「下に凸の2次関数」の回帰式として表すことができ、その回帰式は有意水準0.01で有意である。その際、最小値をもたらす人口規模は、概ね30〜70万人程度である。」 「地方財政からみた最適都市規模と市町村合併」は、昨年度までの本科研費による研究を要約し、その結果に基づいて、新たに、市町村合併の地方財政への効果について都市モデルによるシミュレーション分析を行ったものである。
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