本研究は、島嶼地域の経済発展のメカニズムを経済自立の観点から解明し、当該地域の共生的発展のための有効な戦略を提案することを目的としている。本年度は、まず島嶼経済の自立化指標を作成し、事例としての沖縄経済に適用し分析した。また、環境への負荷のうち、島嶼地域・沖縄の産業廃棄物と産業構造の連関分析を行ったあと、環境容量の小さい島嶼地域の振興策のあり方を検討した。 島嶼地域では離島振興法等に基づいて社会資本の整備が進められ、アイランド・ミニマムは達成されたが、自立的発展にはつながっていない。また、産業廃棄物の処理・処分については、行政の役割も重要であるが、何にも増して排出源の事業者の意識の高揚と実践が肝要となる。環境低負荷型の循環型経済社会システムを構築するに当たって、産業廃棄物のみならず、島嶼地域で問題になっている一般廃棄物や廃車についても適切な処理対策が求められている。 今後、経済自立化をめざして、産業振興を図ることが島嶼地域の大きな課題となるが、地域振興策や産業政策を進めるに当たっては、環境との調和を図る観点から、産業廃棄物の発生・排出抑制さらには最終処分のあり方と対策、廃棄物のリサイクル&リユースを推進することと併せて、ゼロ・エミッション型の新産業等を創出する政策的工夫・努力も必要である。この方面への産業支援策の確立が急がれよう。 島嶼地域は、高齢化による労働力不足の改善、産業活性化の必要性、循環型社会システムの構築の必要性に直面している。これらの島嶼社会が抱える要請に応えるような環境共生的発展モデルを沖縄県伊是名島を例に展開する。このモデルは、農業を中心に島の産業をネットワーク化して、ネットワークの利益と環境便益を共有する発展モデルである。
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