90年代以降、米国のオープンスカイ航空交渉が本格化し、この影響のもとで、国際航空市場競争が促進して国際航空レジムも変容をきたすようになっている。 本年度は、前年度にひき続き、オープンスカイ政策について、段階性とグループ対応などの諸点に着目し、戦略的な目標と経過の具体的検討を行い、その経済的影響に関する検討を行なった。オープンスカイの政策の実施過程において、典型的なオープンスカイのアプローチとそれへの補完的な競争促進のアプローチがあることが示された。オープンスカイ航空協定モデルについての共通の主要事項を検討した結果、運輸権を中心に可能な限りの自由化内容を含んでおり、透明性も高いこと、コードシェアリングを核とするアライアンスとオープンスカイは自由化促進のための相乗的効果を発揮していることが分かった。これらの協定の拡大とアライアンスの普及には、自由化の拡大の方向性が示された。 次いで、オープンスカイ政策の展開の特質と制約要因について、米加航空交渉、日米航空交渉を事例に取りあげ具体的な検証を行なった。米加間でのオープンスカイ航空交渉については、その背景と特質、経済的影響について究明した。日米航空交渉については、98年の包括的合意について形成過程、内容、意義について考察を行なった。これらの比較によって、政策決定過程の差異と実行上のセーフガードの措置についての政策的含意が示された。最後に、米国が一層の自由化促進をはかるうえでのジレンマと課題について検討を行なった。反トラスト法適用除外、カボタージュの制限などに関する問題を指摘した。併せて、将来のアライアンスとレジムの方向性について検討を行なうとともに多国間主義への可能性の課題を示した。
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