1. OECD諸国における経済制度や制度改革の特徴とその背景となる社会経済的・政治的要因等のサーベイ制度間競争における制度改革の中心となるものは行政改革と財政改革である。近年各国で行財政改革がおこなわれているのは、経済活動のグローバル化の中で、財政負担の増大や政府による経済活動への介入が各国経済の競争力をそぐという共通の認識が存在するためである。近年の行財政改革は次のような側面に分かれる。 (1) 財政赤字の縮減、財政支出の削減走政府規模の縮小、公務員数の削減 (2) 行政単位の統合、省庁統合、アウトソーシング(エージェンシー化)、権限・サービスの地方委譲(3) 民営化、規制緩和 (4) 政策・プログラム評価、効率・生産性の評価、顧客サービスの質、民間の運営手法の導入(業務変革) (5) 行政手続法、情報公開 しかし、どの国の行財政改革においても、これらの項目が共通して実施されるわけではない。イギリス・アメリカにおける行政改革において財政規模削減が徹底していることから、アングロ・サクソン系とライン系を区分する考え方は便宜的に用いられることがあるが、各国の行革はこうした単純な軸で区別できないほど固有である。 2. OECD諸国における経済制度と社会経済的・政治的要因に関する国際データベースの作成 本年度の研究では、次のような社会経済データと行財政改革の項目を各国においてつきあわせた。 (1) 人口規模、経済規模 (2) 財政規模:政府部門の比重、財政構造:財政赤字比率、財政制度:中央政府対地方政府の比率 (3) 政治制度:大統領制、議院内閣制、中央集権制、連邦制 (4) 選挙制度:小選挙区制、比例代表制、中選挙区制 (5) 官僚の自律性:民間との人事交流の程度、政治的任命の有無 (6) グローバル経済との接触:産業構造、貿易依存度、旅行等人の国際的移動、資金移動、国際通信の頻度
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