研究概要 |
世界銀行の構造調整にかかわる焦眉の課題は,1997年夏タイを震源として拡大したアジア経済危機にたいする支援である.マクロ経済安定化政策ではIMF(国際通貨基金)が前面にたっているが,アジア経済の脆弱性の象徴ともなっている金融セクター改革,企業ガバナンスの領域では,世銀が主役を担っている.そこで第1年度は,IMF・世銀主導型アジア経済改革に研究の重点を絞ることにした. 小生は,99年1月に韓国,3月にマレーシア,インドネシア,タイを訪問し,世銀現地事務所(マレーシア)にはない)ほかで聞き取りを行うとともに資料を収集した.韓国では,財政金融院,金融計研究院,対外経済政策院など政府系機関,財閥系研究機関,大学研究者,日系金融機関ソウル事務所などを訪問し,ヒアリングを行った.アセアン諸国では,現地政府機関,現地研究機関,日本貿易振興会,日本輸出入銀行,OECF,日系商社,日系金融機関などを訪問した.インドネシアでは華人系ビジネスマンの家に滞在し,話を伺った. この訪問調査の準備として,国内でも,来日した世銀ウオルフェンソン総裁の参加するシンポジウムへの出席や専門家からのヒアリングなどを通して情報を収集するかたわら,研究会で発表を行い,また別記のように仮設的論文「アジア経済危機とIMF・世界銀行」を執筆した.さらに調査をふまえた論文を「アジア経済再生への模索-IMF・世銀型経済改革の功罪」を準備中である.
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