研究概要 |
本研究では、3年計画で進める予定の研究の初年度として、航空産業の生産性の最近の研究動向を整理しつつ、データの整備に努めた。具体的な研究内容としては以下の作業を行った。 (1)既に収集しているアメリカの航空輸送業の、産業全体としてのデータを加工して分析を進めた。 (2)アメリカ国内のデータ収集先と連絡をとりつつ、企業レベルのデータの収集を行った。 (3)これらと平行しつつ、世界各国の文献収集を行った。 これらについてはすでにいくつかの研究発表を行ったが、文献・データの収集とは別に特筆するべき以下の手法について研究を進めた。それは従来の回帰分析とは考え方をまったく異にする、Data Envelopment,Analysis(包絡分析)というものである。回帰分析では各データの平均的な位置を通過する直線が、それらのデータを最も良く説明するとされる。これに対してData Envelopment Analysis(包絡分析、DEA)では,投入要素に対する最大の生産物を産出するラインを結び、これをフロンティアと称する。このフロンティアから離れると非効率性が発生すると考えられるのである。各産業・企業の生産性を検討するときには、これは重要な考え方であるため、その分析手法・分析内容・サンプル等について調査を進めた。 また、航空輸送業の特性としてのネットワークについても研究を進めた。航空輸送業の生産・費用構造を決定するものとしてネットワークが考えられるが、直接に分析することは困難である。この代理変数についても考察を進めた。
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