本研究では、3年計画で進める予定の研究の第2年度として、航空産業の生産性の最近の研究動向を整理しつつ、アメリカの航空輸送業の生産性の計測を行った。具体的な研究内容としては以下の作業を行った。 (1)アメリカの航空輸送業の生産性の計測を、総要素生産性(TFP)の手法を用いて実施した。 (2)トランス・ログ型の費用関数の推定を行って、我が国の航空輸送業の生産性の計測を実施、分析した。 (3)これらと平行しつつ、世界各国の文献収集を行った。 これらについてはすでにいくつかの研究発表を行ったが、日本・オーストラリアと比べて、米国の航空輸送業の違いが際立ってきた。それは企業の数に対して十分な大きさを持つ市場と、大きさが十分でない市場における企業の行動の違いである。これについては次年度に国際比較を行う際に注意する必要がある。 また、文献・データの収集とは別に特筆するべき以下の手法について研究を進めた。それは従来の回帰分析の考え方を少し拡張した考え方であり、Stochastic Frontier Analysis(確率的フロンティア分析)というものである。また、航空輸送業の特性としてのネットワークについても研究を進めた。航空輸送業の生産・費用構造を決定するものとしてネットワークが考えられるが直接に分析することは困難である。現在、2編の論文を既に発表した。
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