アメリカの航空輸送業の費用関数の推定と生産性の国際比較

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10630065
• 研究機関: 流通科学大学
• 研究代表者: 衣笠 達夫 流通科学大学, 商学部, 教授 (30186283)
• キーワード: 公企業 / 公益事業 / 規制緩和 / 生産性 / 規模の経済性

研究概要

本研究では、アメリカの航空輸送業の規制緩和による生産性の変化の分析と、アメリカ、オーストラリアと日本の同産業の国際比較をおこなった。申請者は1995-1997年の3年間、オーストラリアと日本の航空輸送業の規制緩和と生産性の分析とその比較をおこなってきた。(科学研究費補助金・一般研究(C)・代表衣笠達夫・課題番号07630060,1995年度-1997年度,1997年度報告書提出)。本研究ではこれをさらに発展させ、規制緩和の先進国であるアメリカの同産業の分析を行うとともに、既に研究の終了しているオーストラリアと日本の航空輸送業との比較を行った。アメリカの航空輸送業の市場規模は世界最大であり、約20年前に規制緩和されたが、研究の結果、いくつかの知見を得て学会で発表した。以下はその一部である。
(1)アメリカの航空輸送業の市場は規制緩和されてから約20年経過しているが、規制緩和の後、産業全体で計測した生産性はほとんど伸びていない。また、価格は規制緩和によって低下したというよりも、価格の上限と下限の差が大きく開いた分散化傾向が見える。
(2)これに対して日豪の同産業は規制緩和の後、総要素生産性で計測した生産性は企業規模による格差はあるものの、増加している。
(3)このように規制緩和・民営化の実施方法・進め方・その市場規模などによって、規制緩和前後の遷移状態における生産性に大きな変化が生じることが解った。
これらの結果を取りまとめて報告書を作成・印刷した。

研究成果

• [文献書誌] 衣笠達夫(共著): "Competitive processes in Network Industries : Toward an Evolutionary Perspective"Economic Regulatory Discussion Series, The Regulatory Research Institute, Ohio State University. 1998-28. (1998)
• [文献書誌] 衣笠達夫(共著): "National and Supra-national Regulation of Cyber-networks and Tele-communications Carriers"Economic Regulatory Discussion Series, The Regulatory Research Institute, Ohio State University. 1998-31. (1998)
• [文献書誌] 衣笠達夫(単著): "Technological Change and Firm Size on Japanese Aviation Industry"Journal of Applied Regional Science. Vol.13,No.4. 1-13 (1998)
• [文献書誌] 衣笠達夫(単著): "The US airline deregulation, Reconsidered"Japanese Economic Policy, Reconsidered edited by Craig Freedman, Edward Elgar, UK. 85-100 (1999)
• [文献書誌] 衣笠達夫(単著): "M.W.トレスウエイ,W.G.ウオーターズ,A.K.フォク カナダの鉄道産業の1956-1991年間の総要素生産性"公営企業(海外の公営企業関係文献紹介シリーズ). 2000年2号. 90-97 (2000)
• [文献書誌] 衣笠達夫(単著): "規制緩和と経済政策(再考)"『我が国の産業構造に関する研究』第5章、大阪産業大学産研叢書第11号. 2000年3月. 77-91 (2000)